~心をゆさぶられた演奏~
何年か前のことですが、たまたま観ていたテレビで、なんともいえず心に沁みた忘れられない演奏があります。
確か、NHKの「あなたの街で夢コンサート」という番組だったと思いますが、その中の地元のアマチュア演奏家の方のフルートの演奏でした。
その方は、婦人科の医師で、グルックの精霊の踊りの中間部のニ短調の部分を演奏されたのですが、いいようもなく切々とした胸をしめつけられるような演奏でした。
「自分が救うことができず、旅立っていかれた患者の方々に思いを込めて演奏しました。」とおっしゃっていました。
アマチュアの方なので、ステージで演奏される機会は少ないと思いますが、その1回のステージにこれまで歩んでこられた人生の万感を込めて演奏されたことと思います。
言葉では言い表せないような、凝縮された、魂を揺さぶられる演奏でした。
これだけのフルートの演奏力を医師という激務の傍らで大切に磨いてこられたことにも、本当に頭が下がりました。
この後、著名な演奏家の精霊の踊りのCDを購入して聴いてみましたが、こちらの演奏は、穏やかで、その時のような深い感動を与えられる演奏とは少し違っていました。
どんな方にもそれぞれ歩んでこられた人生のたくさんの思いがあると思います。
その思いをこんなふうに、音楽で伝えられて、聴く人を感動させられたら、本当に素晴らしいですね。
音楽の原点に気づかされるようなこの時の演奏を、時々思い返しながら、日々音楽と向き合っていきたいと思っています。
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